プロダクトレビュー:Topo Athletic ST-6
足裏からの「気づき」
ROCK STEPPERS店主の山根です。
私はアウトドアアクティビティのベースになる体力をつけるため、日々ランニングを行っています。そんな私は、ベアフット系から厚底まで、様々なメーカーのシューズを履いてきました。
前作ST-5から気に入り、今回発売されたTopo Athletic ST-6 を選ぶ理由は、この一足が「自分の身体の状態」を常に問いかけてくれる気がするからです。
1. そもそも、なぜベアフットシューズなのか
現在のランニング市場は、厚底シューズが席巻しています。推進力や高反発の恩恵は凄まじく、僕自身もその進化をポジティブに捉えています。ただ、それと同時に「足裏の接地感覚」が遠のいているのは間違いありません。
なぜあえてソールが薄く、フラットなシューズを履くのか。
それは、足裏が「身体の使い方の最終的な結果」が現れる場所だからです。

走る・歩くという動作の主役は、本来、身体の中心に近い大きな筋肉や関節にあります。股関節や体幹がどう機能したか、その「答え」が最終的に足裏の接地感として現れる。しかし、ソールが厚くなればなるほど、その肝心の結果はボヤけてしまいます。
ST-6を履くと、自分の体重がいま足裏のどこに乗っているのか、どの部分で接地し、どう地面から離れていくかが手に取るようにわかります。
「今、足の外側に体重が乗ったということは、股関節がうまく使えていないな」といった、中心部の動きに対する「気づき」を得やすくなると思います。薄いソールは、身体全体を整えるための「答え合わせ」のようなイメージです。
2. 「14mm」の必然:ボクサーのグローブのようなもの
とはいえ、現代のアスファルトを完全に裸足で走り回るには、突き上げや衝撃が強すぎます。そこでTopoが導き出した答えが「14mm」というスタックハイトです。
イメージは、ボクサーが巻くバンテージやグローブに近いかもしれません。
素手では拳を痛めてしまう。けれど、あまりに分厚いグローブでは、相手に触れる繊細な感覚は死んでしまう。
ST-6は、自由に曲がる屈曲性と情報を遮断しない薄さを持ちながら、アスファルトの衝撃からは最低限、でも確実に守ってくれる。この「思考を妨げないプロテクション」のバランスが、日常のあらゆる場面で活きてきます。
3. 「歩き」も「立ち仕事」も、すべてが学びになる
この「気づき」は、なにも走っている時だけのものではありません。
僕たちは走っている時間よりも、歩いている時間、立っている時間の方が圧倒的に長い。ST-6を普段履きとして使うことで、日常のすべてが身体を整える時間になります。
- 歩く時: 大きな関節から指先までスムーズに連動した動きで、体重移動ができているか?
- 立つ時: 左右の足に均等に体重が乗っているか?
そんな些細な気づきを繰り返すことで、自然とナチュラルな身体の動きが身についていく。普段から自分の足の状態を考えていくきっかけにもなります。ランニングを突き詰めていけば、厚底シューズを履いて走る時にも、その高いポテンシャルを100%引き出せるようになるはずです。
4. 科学が裏付ける「履き分け」の合理性
また、科学的にも、タイプの違うシューズをローテーションすることは理にかなっています。
Malisouxら(2015)の研究によれば、複数の異なるタイプのシューズを履き分けるランナーは、1足のみのランナーより故障率が39%低いというデータが出ています。
参照:Can parallel use of different running shoes decrease running-related injury risk? (PubMed)
厚底や高反発のもの、そしてこのST-6のような薄底のもの。
これらを日常的に使い分けることは、特定の部位への負担を減らすだけでなく、足裏のインナーマッスル(足底筋群)を刺激し、足本来の機能を維持することにも繋がります。
5. 人生を豊かにするための「遊び」の道具として

最後に、僕がこの靴を日常でも愛用している理由を。
僕は100マイルをよく走ったりしますが、アスリートだとは思っていません。
僕にとってランニングは、自分への挑戦という真剣な一面もありつつ、基本的には「人生を豊かにするための遊び」です。仲間と笑いながら走ったり、走り終わった後のビールも大好きです。
そんな心地よい走りをしたいときは、可能な限りナチュラルなランニングをしたい。装備に頼らない、自分自身の身体だけのシンプルな走りを楽しみたい。そんなときは薄くて柔らかい、ベアフットシューズがベストだと思います。
最先端の厚底シューズをより巧みに操るための、思考のツールとして。
そして、日々の歩きを通じて自分の身体と対話するための、良き相棒として。
ST-6は、私たちのライフスタイルに新しい「深み」をもたらしてくれるはずです。ぜひ、ROCK STEPPERSでこの心地よい「気づき」を体感して欲しいと思います。


